シカの死と自然の姿
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中学生と歩く森の中、ルート上に何頭ものシカの死骸が横たわっています。
この冬の大雪に呑まれたのか、食べるものがなかったのか、仔ジカを含め数百メートルの間に横たわる死骸は、雪解けから現れたばかりで土に還るにはまだ日が浅く、その中の何頭かの姿は中学生では目を背けて通りたい子も当然います。
けれどこれが自然の姿。
死んだシカたちは他の動物の食糧となって散っていき、風雨に洗われ、微生物によって土に還り、そして豊かな森の土となっていくのです。
死は苦しかったかもしれないけれど、それを見ることは怖いことでもなく、またその発見は冒険にふれるような高揚感でもなく、生命の流れは尊くも当たり前のように過ぎてゆくことを知ります。
それでも中学生のみんなの戸惑いの表情は、それは大切な人間的感情の現れ。
せめてもと僕が手を合わせれば、何人かは同じくシカを悼み手を合わせます。
何頭かのまだ原型を残すシカは、暖かい春の陽に眠るような表情。
彼らは旅立ちながら僕たちに何かを伝え、そして過ぎて行く僕たちを見送ります。
関係するテーマの過去記事:
天上天下唯我独尊、の花見のひとたち
フィンランドの森で出会った精霊と自然の話(フィンランドその4)
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