春の風情に、秋の花の名のつく餅を食べる
240.jpg)
最近、知り合いから「おはぎ」(お店で購入品)を頂戴し、とてもおいしくいただきました。
この「おはぎ」の名称ですが、ほぼ同じ食べ物に季節それぞれの呼び名があることに自然と季節を感じそれを形ある文化にしてきた日本ならではの素晴らしさだと思ってきた私には、春に「おはぎ」を食べることに、どうも違和感があります。
気分はまるで「春に紅葉、秋に桜」のごとし・・・。
「ぼた餅」と「お萩」の名前についてざっと説明をすると、
「ぼたもち」
牡丹餅:名は春に咲く牡丹より。牡丹に見立て少し大きめ。こしあんを使用。秋収穫の小豆の殻がかたくなり取り除くため。
「おはぎ」
御萩:名は秋に咲く萩の花より。萩に見立て少し小さめ、または俵型。また花をイメージし粒あんを使用。秋採れたてのやわらかい小豆を使えるという理由もある。
別説に、素材の違い(もち米か、うるち米か。あんこか、きな粉かなど)、作り方の違い、古語説、女房言葉説、仏教用語由来説などなど。
以前、自然学校系のNPOで春に「おはぎ作り」のイベントがありました。
私は(別説を確固として推すのであれば別ですが)自然学校としては自然文化に沿った名称を考慮したほうがいいのではないか、と意見を述べましたが、名称に特に考慮があったわけではないようでした。
その後どうなったかはわかりません。
また季節ごとに名前を呼び分けていた地域でさえ、春に「お萩」を売ったりしています。
もちろん日本のような国でこそ地域の差があるのは当然で、同じ春でも環境に違いがあれば材料も違い、またその地域ならではの文化由来の名称(つまり別説)があるとは思います。
ただどの説であっても、残念なのは自然や歴史文化を肌で感じ生活の中で形にすることができなくなっている、実感を持って文化なり名称なりが継承されていないということです。
地域の文化が廃れ自然がなくなり、季節ならではの食べ物も買うのが当然、もしかすると牡丹も萩もどんな花かイメージできない、またはいつ咲くのか知らない人も多いのかもしれません。
その名で売られていればそれを信じて疑わず、継承されなかった文化に代わり「ネット検索情報が正解」ということになると、それはもう自然文化やその季節の生活にうるおいをもたらすものではないのかもしれません。
そして実感のない諸説だけが語られ、ぼたもちやおはぎの名も、由来不明の商品名でしかなくなってしまうのでしょうか。
320.jpg)
諸説に詳しいことよりも、「おばあちゃんがそのおばあちゃんから教わったぼたもち」みたいなのがいいですねえ、ほんとうは。
このあたりでは牡丹の開花は5月の連休くらいでしょうか。
写真はおはぎのパッケージにしようかと思いましたが、記事と相まって情緒なさすぎ(笑)なので、過去に撮影した植物記録写真から持ってきた牡丹の花。
写真を選びつつ、図鑑的記録写真ながらちょっと花にうっとりする気分、そして季節の食べ物をこの花に見立てられるとしたらどれだけ素敵なことでしょう、と。
撮影は長野市にて。
関係するテーマの過去記事:
フィンランドの森で出会った精霊と自然の話(フィンランドその4)
森の話、人間がいかにして生きていくか
季節が前後しつつ花の季節
ベツレヘムの星(Star of Bethlehem)
えびす講は宵えびすの縁起物市にて
ハロウィンはみんなのたのしみ
お盆とお葬式のいろいろな習慣
- 関連記事
-
- 自分で作るご飯は楽しい、でも見てるとおなかがすく (2015/06/20)
- ベジさん山小屋でもベジタリアンメニューを食べる(北アルプス涸沢にて) (2015/10/06)
- みんなでお弁当の時間 (2009/06/20)
- 春の風情に、秋の花の名のつく餅を食べる (2013/03/26)
- ベジさんベジタリアンメニューを食べる(カナダその5) (2013/09/08)
- いつもの大好きメニューも実は作るの初体験のみんなのキャンプ料理 (2016/08/02)
- キャンプのみんなが作る野外料理のオリジナルメニュー (2015/07/29)
- 今回もというか毎回やってる、ベジさんが指導(?)するおにぎり作り (2016/07/14)
- 野点(のだて)、ジャパニーズトラディショナルなアウトドアアクティビティ (2018/02/11)
- おいしいおやつを作るのも活動です (2014/05/12)
- みんなの手作りお菓子はバウムクーヘン (2014/06/14)
- 当たり具材入りカレーを食べる、小中高大生から大人までみんなでキャンプ (2017/07/22)
- ピザロボ、煙を吐きながら美味しいピザを焼く (2014/08/04)
- 小中学生と最後の朝ごはんとみんなへの思い (2012/11/03)
- みんなにおやつが出ます!快晴もおやつも最高なツアースキー (2017/01/26)